保険料を動かしているのは等級と年齢条件
日本の自動車保険は、契約者ごとに付くノンフリート等級で料率が変わる。1〜20等級まであり、無事故で1等級ずつ上がり、事故を起こすと1等級下がる。上限は20等級、新規加入は6等級からのスタートだ。だから同じ車、同じ年齢でも、初めて契約する人と20等級のベテランでは支払う額がまったく違ってくる。
ある損保会社が公表している試算例を見てみよう。2016年式プリウス、37歳、対人・対物無制限、車両保険ありという条件で、20等級なら年間13万6,880円。ところが同じ条件で6等級の新規加入だと年間40万1,600円になる。等級が違うだけで3倍近い開きが出るわけだ。
年齢条件も効く。同じ試算で「35歳以上補償」にすると年間5万4,670円まで下がる。「26歳以上」なら5万5,570円、「21歳以上」なら8万1,970円。逆に言えば、家族に18〜20歳の子どもがいるのに35歳以上条件にしてしまうと、その子が運転したときの事故は補償されない。条件変更は契約途中でもできて、差額は返金される仕組みだから、誕生日が来たら忘れずに見直したい。
地域による差も無視できない。料率は都道府県単位で設定されていて、都市部は車両密度が高く事故件数も多いため保険料は高め、地方は安めという傾向がある。ただ地方は死者数が多くなる傾向もあり、安さだけで判断するのは危ない。任意保険の対人賠償加入率は全国平均75.5%、大阪府82.8%、沖縄県55.0%という公表データもある(損害保険料率算出機構)。離れて暮らす親の契約を子どもが確認する、という場面も珍しくない。
削る前に考えたい三つの補償
車両保険は削りやすい項目だ。通勤距離が短い、車の時価が下がった、といった場合は免責金額を5万〜10万円に設定したり、限定タイプに切り替えたりする選択肢がある。ただしローンが残っている車は契約条件で車両保険が求められることが多いので、事前に確認しておきたい。
人身傷害保険は削らないほうがいい。自分や同乗者のケガは、相手の保険から十分に補償されないことがある。示談が長引くほど、この補償の有無が効いてくる。3000万円以上を目安に確保しておくと安心だ。
弁護士特約は費用対効果が高い。ある通販型保険会社の公表値では付帯率79%。月あたり数百円から千円台の追加で、一方的に追突されたような場面でも交渉を任せられる。保険会社は自分に過失がない事故で示談交渉ができないため、この特約の価値は小さくない。
千葉県の30代会社員のケースでは、運転者を本人限定にし、35歳以上条件を設定、弁護士特約を追加したうえで、前年より年間2万円台の圧縮になった。走行距離が短く、車両保険を免責10万円に変えたことが大きい。埼玉県の50代の場合は、車両保険を限定タイプにして年間1万円台の節約。いずれも補償を減らしたのではなく、使っていない部分を整理しただけだ。
| 選択肢 | 年間保険料の目安 | 向いている人 | 注意点 |
|---|
| 通販型(ネット契約) | 5万〜14万円程度(20等級・35歳以上・車両保険ありの試算例) | 自分で条件を判断できる人 | 事故対応は電話・Webが中心 |
| 代理店型 | 通販型より高めの傾向 | 対面での相談を重視する人 | 担当者の知識差が大きい |
| 共済 | 組合員資格が必要、掛金は割安なことが多い | 組合員、長期契約を考えている人 | 補償内容の組み立てが独自 |
| 年齢条件なし | 13万円台(試算例) | 子どもや親がよく運転する家庭 | 若年層の事故リスクを反映 |
| 新規加入(6等級) | 11.6万〜40万円(試算例) | 初めて車を買った人 | 初年度は高く、翌年から下がる |
見積もりを取るときの実務手順
比較は条件を揃えないと意味がない。等級、事故歴、免許証の色、年間走行距離、使用目的、運転者限定の範囲を書き出しておく。前の契約を解約した人が等級を引き継ぐには中断証明書が必要で、有効期間は最長10年。引っ越しや一時的な車なし期間があった人は、書類が残っているか確認しておきたい。
見積もりは3社以上。一括見積もりサービスを使うと入力は一度で済む。補償は対人・対物無制限、人身傷害3000万円以上、弁護士特約ありに揃えて比較すると、純粋な料率差が見える。満期の1〜2か月前に動くのが基本で、満期日前の解約なら違約金がかからないのが一般的だ。
地域の資源も使える。JA共済や全労済は組合員向けの窓口がある。日本損害保険協会には相談窓口が設置されていて、契約内容の確認に使える。自治体の消費生活センターでも、保険の勧誘に関する相談は受け付けている。
保険料は毎年見直せる。今年の契約書を一度開いて、等級と年齢条件の2行を確認するところから始めてみてはどうだろう。条件を1つ変えるだけで、年間数万円動くこともある。