日本で任意保険が事実上必要な理由
自賠責保険は法律で加入が義務づけられていて、相手のけがや死亡に限って最低限の支払いをします。死亡で最高3,000万円、傷害で最高120万円。ここに収まらない賠償は日常的に起こります。相手の車の修理代、自分の車の損傷、自分のけがは、この保険では補償されません。
損害保険会社の調査では、自家用車の任意保険の年間保険料は平均5万円台。東京都は6万円台で全国でも高い側に入り、20代だけを見ると6万円を超えます。都市部は駐車場代がかさむうえ、車両保険を付ける人が多い。地方は走行距離が長く、冬場の路面状況が保険料に響きます。日本海側の県では悪天候時の接触事故が多く、沖縄は台風による水没や飛来物のリスクが乗ります。
等級は1等級から20等級まであり、無事故なら1年ごとに1つ上がり、事故を起こすと下がります。相手に過失がないもらい事故でも、自分の車両保険を使うと等級が下がってしまう。相手方のいる事故のうち3割前後がこの形だという推計もあります。だからこそ無過失特約の有無を確認したいところです。これは過失ゼロの事故で車両保険を使っても、事故がなかったものとして扱う特約です。
保険料を左右する四つの分岐点
対人・対物は無制限が前提
対人賠償と対物賠償は無制限にする。ここを削っても保険料はほとんど変わりません。変わるのは数百円の世界で、削る意味が薄い。代わりに、相手の車の修理代が時価額を超えた場合に備える対物超過特約は、付けても負担が小さい特約です。
車両保険は限定タイプも選択肢
新車やローンの残っている車は一般タイプ、年式が進んだ車は限定タイプという考え方があります。免責金額を5万円か10万円に設定すると保険料は下がります。ただし、ぶつけた相手が見つからない当て逃げや、動物との衝突を補償するかは商品ごとに違います。自分の駐車場での当て逃げが多い地域なら、そこは確認しておきたい。
年齢条件と運転者限定
21歳以上、26歳以上、30歳または35歳以上。この設定で保険料は大きく動きます。35歳以上補償にすると、全年齢補償と比べて半分近くまで下がる例も珍しくありません。ただし条件に満たない人が運転して事故を起こすと、補償されません。誕生日で条件を満たしたら、その時点で変更すると差額の調整が受けられます。
人身傷害は金額と範囲を見る
自分のけがを補償する人身傷害保険は、3,000万円か7,000万円が一つの目安です。車内だけか、自転車や歩行中の事故まで含むかで性格が変わります。通院が長引いたときの補償をどう見るかは、暮らし方によって判断が分かれる部分です。
| 項目 | 代理店型 | ダイレクト型 |
|---|
| 主な会社 | 大手損保の対面窓口 | 通信販売専業の会社 |
| 年間保険料の目安 | やや高め | 2万〜5万円ほど安い傾向 |
| 加入と変更 | 担当者と対面、書類中心 | Webと電話で完結 |
| 事故対応 | 担当者が個別に動く | コールセンターが窓口 |
| 特約の調整 | 相談しながら決められる | 自分で選ぶ必要がある |
| 向く人 | 初めての更新、事故経験がある | 相場を把握し、操作に慣れている |
見積もり前に済ませたい準備
等級と事故有係数適用期間を確認する。前の契約の等級が引き継がれていないと、数万円単位で損をします。次に、普段ハンドルを握る人の年齢と人数を書き出す。家族限定にするのか、本人限定にするのかで金額が変わります。年間の走行距離も、3,000km以下か5,000km超かで区分が分かれます。
神奈川県の会社員、佐藤さんは35歳の誕生日を機に年齢条件を変更しました。保障内容はそのままに、年間で1万円ほど負担が軽くなったといいます。新潟県の夫婦は、通勤用の軽自動車を車両保険の限定タイプに切り替え、浮いた分を弁護士特約に回しました。過失ゼロの事故では、保険会社が自分に代わって相手と交渉できないため、この特約が効きます。契約者の多くが付けている特約でもあります。
複数の見積もりは、必ず同じ条件で並べる。車両保険の有無、免責金額、年齢条件、走行距離区分をそろえないと比較になりません。一括見積もりサービスは同じ入力で複数社を比べられる点で便利ですが、表示される金額は目安です。契約前に各社の公式サイトで条件を確認してください。地域の保険代理店に相談すれば、その県の事故傾向を踏まえた提案が受けられます。日本損害保険協会の相談窓口も、契約内容の確認に使えます。
更新の前に、二つの画面を並べてみる
保険は、事故が起きてからでは選び直せません。更新の案内が届いたら、今の契約内容をそのままに、別の会社で一度見積もってみる。条件を変えずに金額だけを比べるだけで、自分の契約が高いのか、それとも妥当なのかが見えてきます。等級が上がった年、車を買い替えた年、子どもが免許を取った年。そのどれかが当てはまるなら、見直しの価値は十分にあります。