保険料を決めているのは等級と「誰が運転するか」
日本の自動車保険は、無事故を続けると等級が上がって割引率が高くなる仕組みを採っている。新規契約は6等級から始まり、20等級が上限で、そこまで積み上げると6割前後の割引が効く。逆に事故を起こして等級が下がると、その影響は翌年だけでなく数年残る。更新のたびに「なんとなく」で済ませていると、この積み上げが反映されないまま高い保険料を払い続けることになる。
次に効いてくるのが運転者の範囲と年齢条件だ。補償する運転者を本人や夫婦に絞るだけでも保険料は下がるし、年齢条件を「21歳以上」「26歳以上」「35歳以上」と限定すれば、さらに差が開く。ある損害保険会社の試算例では、2016年式プリウス(車両価格265万円)、37歳、対人・対物無制限、車両保険あり、20等級という同じ条件で、年齢を問わず補償する契約が年間13万6,880円、35歳以上限定が5万4,670円だった。条件を一つ変えるだけで、これだけの開きが出る。
見落としやすいのが、同居する家族の存在だ。子どもが免許を取って家族の車に乗る場合、最も若い年齢の水準が保険料に反映される。18〜20歳の子どもを補償対象に加えると、年間の保険料は一気に上がる。ここで「保険料を下げたいから」と年齢条件を35歳以上に設定してしまうと、肝心の子どもが事故を起こしたときに補償されない。保険料の差額より、事故のときの自己負担のほうがはるかに大きい。
地域と使い方も料率に響く。都市部や事故率の高い地域は高めになり、通勤・通学で使う契約は日常・レジャー使用より高くなる。前年1年間の走行距離を申告する区分を設けている会社も増えており、テレワークで走行が減った人は更新時に見直す価値がある。なお、すべての車に義務づけられている自賠責保険は、11月1日以降に保険期間が始まる契約から全国平均6.2%の引き上げが適用され、自家用乗用車の24か月契約は18,560円、軽自動車は18,660円になる。とはいえ自賠責には対人賠償の支払いに上限があり、任意保険なしで走るのは現実的ではない。
種類ごとの違いを並べてみる
| 種類 | 年間保険料の目安 | 強み | 注意点 |
|---|
| ネット型(ダイレクト) | 平均的な水準から2〜4割ほど低いケースがある | 同一補償でも割安になりやすい。手続きがオンラインで完結 | 事故対応は自分で進める。連絡先の確認を怠ると初動が遅れる |
| 代理店型 | 年間4万〜10万円前後が平均的な水準 | 事故時の交渉や書類を担当者が支援。対人事故に弱い人ほど安心 | 人件費分だけ割高。担当者の力量に差がある |
| 共済(マイカー共済など) | 補償型により異なるが、総じて割安な水準 | 非営利運営で掛金を抑えやすい。窓口が全国に分散 | 補償の細部が民間保険と異なる。等級制度の扱いも会社ごとに違う |
| 自賠責のみ | 24か月18,560円(自家用乗用車) | 法令上の最低限を満たす | 対物無制限や車両損害は補償されない。実用性は低い |
全国の契約データを集計した調査では、21歳未満の平均が9万円台、40代が4万円台前半という年代差も報告されている。年齢そのものがリスクとして料率に織り込まれている証拠だ。
見直しは更新の1か月前から動く
手順はシンプルだ。証券を開いて、等級、運転者限定、年齢条件、車両保険の有無、免責金額、走行距離区分の5点を書き出す。そのうえで3〜5社の一括見積もりを取る。前の契約を解約して間が空いても、中断証明書があれば等級は引き継げるので、乗り換えで不利になることは基本的にない。
車両保険は、一般タイプを限定タイプ(エコノミー)に変える、免責金額を上げる、といった調整で保険料を抑えられる。ただし免責金額を上げた分は事故時に自分で払う。車の年式と残存価値を見て決めたい。特約の重複も狙いどころで、人身傷害保険と搭乗者傷害特約、JAFとロードサービスの両方に入っているようなケースは珍しくない。
相場を知りたいときは、日本損害保険協会の相談窓口や、職場・生協の共済窓口が参考になる。修理費の実額はディーラーや整備工場で聞けるので、車両保険を外すかどうかの判断材料になる。地域による料率差もあり、沖縄は独自の料率で相対的に安く、愛知や北海道は高めという調査結果もある。引っ越したのに住所変更を届け出ていないと、料率の適用が実際とずれることがある。
保険は安さだけで選ぶと、いざというときに困る。年に一度、証券を開いて等級と年齢条件を確認する。それが一番確実な節約になる。まずは今の等級を書き留めて、一括見積もりを一度試してみてほしい。