「年間5万円台」が平均という現実
アクサ損害保険が全国の20〜69歳の自家用車保有者4,700名を対象に行った調査では、年間の任意保険料の平均は53,720円でした。20代だけを見ると60,836円まで上がります。都道府県別では東京都が65,098円で最も高く、島根県62,572円、宮城県60,120円が続きました。
同じような車に乗っていても、住んでいる場所と年齢でこれだけ差が出ます。全国平均をそのまま自分の目安にすると、高い契約を惰性で続けてしまったり、反対に必要な補償を削りすぎたりします。見るべきは平均ではなく、自分の等級と走行条件です。
等級は割引のはしごではない
保険料はノンフリート等級別料率制度で決まります。等級は1〜20等級に分かれ、初めて契約する車は原則6等級からスタートします。1年間無事故で翌年に1等級上がり、20等級が最も保険料の安い位置です。
見落としやすいのが、2012年以降に各社が導入している事故有係数適用期間の存在です。同じ等級でも、過去に保険金を請求した契約は割高になります。等級の数字だけを並べて見積もりを比べても、実際の負担額は読めないということです。
さらに保険料には、車の型式ごとの事故データに基づく型式別料率クラス、使用目的、運転免許証の色、運転者限定の有無も効いてきます。同じ20等級でも、軽自動車と普通乗用車では金額が変わります。
街と地方で変わるリスクの中身
東京都の駐車場代は月平均18,572円で、駐車場代がかかっている人の割合は35.0%にとどまります。一方、栃木県や山梨県では駐車場代がかかっていない人が8割を超えます。駐車場所が確保されているかどうかは、車両保険の要不要を考えるときの判断材料になります。
地方では走行距離が伸びやすく、幹線道路での衝突や相手車両との事故が増えます。都市部では自転車や歩行者との接触、狭隘な駐車場での接触が目立ちます。
もう一つ意識したいのが、もらい事故の存在です。相手がいる自動車事故のうち約3割は、こちらに過失のないもらい事故と推計されています。この場合、保険会社は相手との示談交渉を代行できません。交渉を自分で抱え込むことになるため、弁護士特約の有無が実務的な差になります。ある損害保険会社の契約者では、約8割がこの特約を付けています。
契約チャネルと補償の組み合わせ
保険料の目安は、契約の入口と補償の範囲で大きく動きます。下の表は、条件をそろえたうえで比較するときの考え方を整理したものです。
| 契約チャネル・補償プラン | 年間保険料の目安 | 強み | 注意点 | 向いている人 |
|---|
| ネット型(車両保険あり・限定タイプ、20等級、一括払、インターネット割引適用) | 一例として年2万2千円台〜2万6千円台 | 補償を厚くしながら保険料を抑えやすい | 事故時の連絡や書類手続きは自分で進める | 見積もりを自分で比較できる人 |
| ネット型(車両保険なし、新規契約、インターネット割引適用) | 一例として年1万7千円台 | 出費を最小限にしやすい | 自分の車の修理費は全額自己負担 | 年式が古い車、走行距離が短い車 |
| 代理店型 | 全国平均は年間5万円台(調査値) | 担当者に相談でき、手続きを任せられる | 保険料は割高になりやすい | 対面での説明を重視する人、高齢のドライバー |
| 共済(生協・JA系) | 組み合わせにより変動し、総じて抑えめな傾向 | 組合員向けの割引や独自の特約 | 補償範囲が独自で、他社と単純比較しづらい | 組合員、家族まとめて加入したい人 |
金額はあくまで一例です。契約条件や保険開始日によって変わるため、同じ車でも見積もり結果は一致しません。
削る前に確認したい補償
対人賠償と対物賠償は無制限が前提です。ここを削る余地はほとんどありません。人身傷害補償も、自分の家族が同乗中にけがをしたときの治療費と休業損害をカバーするため、金額を落とす前に運転者限定の範囲を見直したほうが安全です。
調整しやすいのは車両保険です。限定タイプにして免責金額を5万円または10万円に設定すると、保険料は下がります。運転者限定を「本人限定」にすると、家族が運転する機会がある家庭では補償の穴が生まれる点に注意してください。
東京都で通勤に使う佐藤さん(38歳)は、車両保険を限定タイプのまま残し、運転者を本人と配偶者に絞ることで、補償内容を落とさずに更新を終えました。宮城県で家族送迎に車を使う鈴木さん(52歳)は、走行距離の区分を見直し、弁護士特約は維持したまま保険料を整理しています。どちらも、削る場所を先に決めてから見積もりを取った例です。
更新月までに進める手順
- 現在の保険証券を用意し、等級と事故有係数適用期間、運転者限定の範囲を書き出す
- 過去1年間の走行距離と、主な使用目的(通勤・買い物・送迎)をメモする
- 車両保険の要否を、車の時価と駐車環境から判断する
- 条件をそろえたまま複数の見積もりを取り、補償額と保険料を並べて比べる
- 更新月の2週間前までに手続きを終え、等級の引き継ぎ書類を保管する
地域の相談先としては、JA共済の窓口、カー用品店の保険カウンター、ディーラーの担当者が身近です。東京都内なら駐車場の契約条件、地方なら走行距離の実績を、それぞれ窓口で伝えると話が早く進みます。
保険証券を一枚広げて、等級と補償の欄を確認するところから始めてみてください。見直すべき点は、案外その一枚に書かれています。